寝ても覚めても学校のこと。

学校経営に関するニュースを採り上げ、私見(コメント)を付してお届けしております。

値上げの春、家計に負担

4月になりました。学校では新年度、新学期を迎えますね。
大阪では桜もちょうど満開に。心躍る春到来です。

が、同時に生活や経営も変化を伴いやすい4月。
今朝の朝日新聞にはこんな記事がありました。

値上げの春、家計に負担
(記事全文を見るには会員登録が必要です。ご了承下さい)


記事本文には家計を中心に負担増の内容がまとめられています。
為替における円安進行も一因ではありますが、電気やガス料金の値上げなど、家計はもとより、
学校経営においても負担増となる項目がいくつか存在しています。
この4月からの変化のまとめとしてはこちらの表が分かりやすいのですが、
以下、学校経営における4月以降の環境変化を私なりにまとめてみました。


○雇用と年金関連
 ・共済年金受給開始年齢が61歳に引き上げられます。
 ・これに伴い、65歳まで、働きたい人全員の雇用が義務付けられます。
 ・その他、有期雇用契約を5年繰り返した被雇用者は、無期雇用契約への転換を求めることができるようになります。

○教育資金関連
 ・祖父母から孫への教育資金の贈与が1,500万円まで非課税となります(うち、学校以外への支払は500万円まで)。


雇用関連に関しては、人件費総額をシミュレーションしつつ、経営とのバランスを図る必要がありそうですね。


今日から始まる新年度が、御校にとって素晴らしい1年になりますよう、心より祈念申し上げます。


(文責:吉田)

推計人口:2040年に全都道府県で減 10年の8割に

また書きたい記事が目白押しなのですが…今日は人口推移のお話を。

推計人口:2040年に全都道府県で減 10年の8割に

このニュース自体、ご存知ない方はそれほどおられないと思いますので、内容は記事に任せるとして。


先日NHKのニュースを見ていたところ、本格的な人口減社会をどのように迎え、過ごしていくのかという観点で小
特集を組んでおられました。

個人的な感想のレベルではありますが、人口減社会に突入したとはいえ、
その実感を持ち、またそのための備えができているかと言えば、まだまだではないか、と感じることが多くあります。

例えば住宅事情。
人口減≒世帯数減、だとすれば今から宅地開発をすることがどうなのか。
また、この時点で地価が上がるということは本当に正常なことなのか。

例えばインフラ整備。
スリム化する社会に対応するためには、道路の供用廃止を含め、インフラの縮小も考慮しつつ
税金の使い道を考えるべきではないのか。

例えば産業振興。
どれだけ事業を拡大したとしても、すべての物品やサービスがこれまでほどは国内で消費されず、
「売れなくなる時代」が早晩訪れることを想定し、事業を組み立てる必要はないのか。


そして、学校経営。

地域によって差はありますが、生徒数はこれから確実に減少します。
そのときに向けて、数年あるいは数十年規模の施設縮小計画を練る必要があるのではないか。

そうでなければ、市場がが2〜3割、いやそれ以上縮小しても、
確実に生徒を集められるだけの魅力づくりをすべきなのではないか。などなど…


人口が縮小し、社会が縮小するという経験は、日本どころか世界においても経験値が十分とは言えません。
その中でそれに備えていくことは、大きな困難や葛藤を伴うことでしょう。
が、「その日」は確実にやってきます。
人口推計というのは推測値とは言え、ほぼ確実な未来を表わす重要な指標と言えるでしょう。
つまり、いくら目を背けても備えねばならない未来に違いないのです。
経営計画の必要性が、ここにも存在しています。

(文責:吉田)

再来年度導入?学校選択制(大阪市)

大阪府立高校普通科の学区撤廃に続き、
気になる記事を見つけました。


早ければ再来年度導入 学校選択制
http://www.pressnet.co.jp/osaka/kiji/130323_01.shtml


大阪市の各区内にある公立小中学校のうち、
 ①好きな学校に行ける「自由選択制」
 ②隣接する学校から選ぶ「隣接区域選択制」
 ③あらかじめ決められたブロック内から選べる「ブロック選択制」
などいくつかの枠組みがあり、
制度導入の可否も含めて、各区長が決めた枠内で学校を選べるようになるそうです。


ただし、制限事項もたくさんあるようです。
 ①通学は、原則徒歩で自転車は禁止。
  バスや電車の利用が認められた場合は、保護者負担。
 ②一つの学校に希望が殺到しても、原則増設はしない。
  また、生徒の数が学校によって激変すると、学校運営に支障が出るので、
  一つの学校が他の校区から受け入れる生徒は
  「1学級分(35〜40人)」のみに制限する。
 ③希望者が上限を上回った場合は公開抽選。
  抽選漏れの可能性を踏まえ、第1・第2希望と複数の希望を出せるのが、
  全国初の「大阪方式」。
 ④すべてで抽選に漏れても、自分の住む校区の学校には必ず行ける。


全国では、この制度を導入している自治体は、
小学校240(14.2%)、中学校185(13.9%)。
私の印象では、「まあまあ多い?」といった感じです。
導入した結果、肯定的な意見がある一方で、
「学校と地域の関係が希薄になった」などの理由で、廃止する動きもあるようです。


記事を読んでいくと、結局この制度を導入するメリットをそれほど感じません。
どちらかというと、生徒目線(重視)より保護者目線(重視)をいう
印象を受けました。


想像してみると…

  行きたい中学校の第1・第2希望を提出。
      ↓
  第1希望した中学校に希望者殺到により抽選。
      ↓
  落選。第2希望した中学校も希望者殺到で抽選。
      ↓
  落選。地元の中学校に行くことに決定。


実際の流れとは違うと思いますが、
すべての希望が叶わなかった場合はこんな感じでしょうか。


学校や教育委員会は、学校の情報冊子を作成し情報公開をする。
抽選となった場合には、おそらく市の職員や教育委員会の
業務負担も増えるでしょう。
いずれも時間・労力・コストがかかります。


子供・保護者側でも、
時間と労力をかけてきたのに希望が叶わなかったとなると、
気になるのはそうなった時の精神的ダメージです。
保護者もそうですが、子供達はもっとです。

そして、「希望した学校に決定」「地元の学校に行くことに決定」
どちらの場合でも、
仲の良かった友達は別の学校に行くことに…なんてことも起こりうるのですから、
学校に行く楽しみも減るような気がします(少なくとも行く前のワクワク感は)。


「公立だから住んでいる地域の学校に行くのが当たり前」だった時代は終わり、
自分で、将来を見据え、学校を選ぶ時代に変わってきたのかもしれません。
しかし、そんな選択を、すべての保護者・子供達ができるのでしょうか。
私立ですでに同じような制度があるのですから、
公立までそうならなくてもいいのでは?と思います。

「一体どこの学校に行ったらええねん!!」ってなりそうです。



学校法人会計の勉強会を行いました

桜の花が開いてからというもの、肌寒い日が続いています。今朝も少し冷える朝です。
桜の花は長持ちしそうですが、同時に風邪ひきさんも増えているようで、花見どころではないかもしれませんね。
皆様もくれぐれもご自愛ください。


さて昨日はある学校法人さんで勉強会を行いました。2週間前に続き、2日目の実施。
今回は「学校法人会計」がテーマでした。


以前このブログでも採り上げましたが、学校法人会計基準は改定される方向で議論が進んでいます。
見た目からすると大きな改正のように見えますが、噛み砕いていくと
表示方法に関しては大きく変わる
処理内容に関してはそれほど変わらない
というのが私の感想です。つまり、経理ご担当者さんにはそんなに身構えていただく必要はないのだろう、と。


そして、昨日も少し議論になったのですが、学校法人会計でとにかく分かりにくいのが「基本金」の存在。
特に、一般企業会計に慣れた方にとっては、基礎知識がある分だけ理解しにくいという、とても厄介な存在だと感じています。
(あくまで個人的見解です)
ただ、その制度趣旨である「学校経営の安全性を確保すべき」という理念は大切にせねばなりません。


『会計』という事柄はそれだけで何かを生み出すわけではありません。
そう考えてしまえば単なる『作業』になってしまいます。
が、予算という目標数値に対して、実績の数値がどうなっているのかを計測する、という意味を与えることによって、
会計は作業ではなく、『目標管理』の意義を持ちます。
目標に近づくためにどうアプローチすべきか、そのアプローチを実行できているのか−−−
そういった確認は、法人経営において必ず実施すべき経営管理のひとつと言えます。


過去、学校法人は難易度の高くない経営主体であったかもしれません。
が、現在に至り、その特性は完全に失われてしまったと言ってよい、と私は思っています。
会計を活用し、より良い学校へと進化する。
ぜひともその視点を大切にしていただきたいと思います。


本テーマ、もしご興味があれば弊社セミナーにもお越しください。
学校経営セミナー『学校法人における望ましい予算制度と管理会計
2013年4月26日(金)14:00スタート、受講料はお1人様2,000円(消費税込)です。
お申込はメール yoshida@nihonsougou.jp へどうぞ。
もちろんお電話 06-6945-9454 でも構いません。
皆様にお会いできることを楽しみにしております。

(文責:吉田)

9月に全校導入 中学校給食

ここのところ、とっても目につく話題からひとつ。

9月に全校導入 中学校給食


大阪市では中学校給食の実施が昨年9月に始まり、今年1月からは97校で、9月には全128校で導入される見込みとのことです。
今は給食か家庭弁当かを選ぶ選択制のようですが、2013年度以降は区ごとに「全員給食」「全員家庭弁当」のいずれかが決まってしまいます。


私自身は富山県出身なので、大阪とは事情が異なり、中学時代も当然のように給食でした。
そして小中を通じてほとんどが米食。パンは週1回のみでしたね。
米好きとしては有り難かったです。


記事にも書かれていることではありますが、給食にかかるコストを考えれば、経済的には絶対にオトク!な制度だと
思いますが、実際には給食を望む声というのはそれほど強くないようで、少し驚いています。
好き嫌いが多いから?アレルギーが気になるから?美味しくないから?
…理由はひとつではないのでしょうが、それでも、私が最近食べた給食の味からすれば、
栄養バランスはいいし美味しいし安価だし、言うことなしなんですが、ひょっとしたら私の舌が貧しいのかもしれませんね。


ちなみに、少し前のことにはなりますが、文科省からはこんな情報発信もなされています。

幼稚園における給食の適切な実施について

特別支援学校の幼稚部及び高等部における学校給食実施基準の一部改正について

夜間学校給食実施基準の一部改正について

学校給食実施基準の一部改正について

学校給食実施基準がこの4月1日から変わることの告知のようです。
こうやって細かな基準も決められて実施されている学校給食。
同時に、近年は『食育』という名で、教育の一環としての食事という観点も定着しつつあります。


この点、私学はどう考えるのがいいのでしょうか。
個々の学校で給食設備を整えることが難しい私学。
大手の学校法人さんは有名ホテルとの連携でランチの提供などを行っていますが、
どの学校でもできる話ではないでしょう。
それでも公立校が給食の充実を図る方向にあるのは事実。
私学も食育について今一度考えてみる必要はありそうです。

(文責:吉田)

どんな高2が将来デキる社会人? 就職後3年まで追跡 京大・河合塾調査

東京では桜が満開だとか。ここ大阪では、ボチボチ見頃が近づいているようです。


さて、今日は以前からちょっと温めていたニュースをご紹介します。
どんな高2が将来デキる社会人? 就職後3年まで追跡 京大・河合塾調査
(いつもながら全文を読むには会員登録が必要です。ご了承ください)

この調査は、高校2年、大学1・2・4年、そして社会人3年目に実施されるとのこと。
初回は今年の秋、大学進学率の高い約1500校を通じて約17万人に協力を依頼するそうです。
そして同じ生徒に社会人3年目まで調査を継続。
最後まで回答してくれる人数を5千〜3千人と見込んでいるそうですので、
目論見通りいけばかなり信頼度の高い結果が得られそうですね。
ただ、質問項目は「学習やクラブ活動などへの時間配分」「海外で仕事をする意欲」
「成功した問題解決法を他の場面でも試すか」など毎回100項目以上になるとのことで、
回答者には結構頑張ってもらわないといけませんね。


私学とのかかわりの中で痛切に感じるのは、進路実績への意識の高さです。
それは保護者サイドもしかり、学校サイドもしかり。
ただ、ここで言う「進路実績」という言葉に、広義における「進路」が含まれるかというと、そうではないような気がしています。
つまり、進路実績≒進学実績≒学校全体での大学合格実績といった数式が成立しそうな、そんな現実を感じてしまうのです。
本来、進路というのはこんな狭い意味で用いられる言葉ではなく、
それぞれの生徒がそれぞれの持ち味や興味、強みを活かして未来へ歩を進めることを言うのであって、
その意味では現在の進路指導というのは甚だ狭義のものを指していると思えてなりません。
学校として、そして保護者として本当に意識すべきは、どの大学に行ったか、ということではなく、
どんな社会人に成長し、どんな人格を得たのか、という、もっとずっと広い意味での進路だと思うのです。


今回採り上げたニュースにあるような調査がどのような結果をもたらすかはともかく、
このような視点で学校の存在意義を確かめることは、本来なら各校において実行されてしかるべき、
とすら感じます。


学校にとって本当の意味での財産は、卒業生の存在。
社会人3年目まで、と言わず、その後もずっと、卒業生が社会でどのような活躍をしているのか、
ということを気に留めていくべきではないでしょうか。

(文責:吉田)

報告書「学校施設整備基本構想の在り方について」の取りまとめについて

ここ最近、学校施設関連の記事が目立っています。
十分理解できているわけではありませんが、概要をさらっておこうと思います。


直近の文部科学省からの発信はこれ。
報告書「学校施設整備基本構想の在り方について」の取りまとめについて

これ以外にも学校施設関連で、いくつか文科省からの発信が相次いでいます。
以下、列挙しておきます。

報告書「学校施設の老朽化対策について」等の公表について

木造校舎の構造設計標準の在り方に関する検討会報告書について

学校施設老朽化対策先導事業の実施状況(平成25年度)

スーパーエコスクール実証事業の実施状況(平成25年度)


冒頭の発信資料にもある通り、現在、そして今後においては、学校施設をめぐる課題は数多く指摘できます。

築年数の経過による老朽化。
少子化による生徒数の減少。
大地震をはじめとする天災、そして人災をも想定に入れた防災。
地域における活用。
そして何より、教育内容との整合性…


これらの多くの課題に対応するために必要なこととは何か。
その解も、実は資料中に記載があります。

『基本構想を検討するに当たっては、まず、中長期的に目指すべき学校施設像を示すことが重要。
 その上で、域内の学校施設の現状把握を行い、目指すべき姿の実現に向けた
 域内の学校施設全体の中長期的な整備方針を基本構想としてまとめる。』

公立、そして行政を主眼に置いた書き方にはなっていますが、私学においても同様だと考えます。


すなわち、中長期的に目指すべき学校施設像とは何なのか、をしっかり考える
続いて、現状把握を行い、目指すべき姿の実現に向けた整備計画をまとめ、実行する
これは施設に限らず、経営の根本とも言えるPDCAサイクルです。


上記個々の発信内容についても、今後読みこなしていきたいと思っています。

(文責:吉田)