寝ても覚めても学校のこと。

学校経営に関するニュースを採り上げ、私見(コメント)を付してお届けしております。

国立大学法人等の平成23事業年度決算等について

少し古い情報になりますが、決算分析のご参考として掲載いたします。

国立大学法人等の平成23事業年度決算等について
資料はPDFファイルで2件、掲載されていますが、概要をつかむにはこちらだけでも十分です↓
国立大学法人等の平成23事業年度決算について

国立大学法人に関しては、私立学校とは会計のしくみが異なるところも少なくないのですが、
こういう情報にも目を通しておいて損はないと思います。

簡単にコメントさせていただきますと…


貸借対照表(財産の状態を表したもの)
・資産のうち90.3%が固定資産、残りが流動資産となっています。
・この構成を前年度と比較すれば、現預金と有価証券の残高が増えているのが特徴と言えます。
・負債は前年度より若干の増加、純資産はほぼ横ばいとなっています。


○損益計算書(収益と費用の状況を表したもの。私学で言うところの消費収支計算書です)
・経費は財務経費(資金調達にかかる費用)を除けばほぼ全てについて増加傾向。
・研究経費や診療経費に比べると、教育経費の伸びは大きくない様子。
・収益は交付金や納付金の減少により厳しい状況。附属病院の収益でこの現象をカバーする構図に。


キャッシュフロー計算書(お金の動きを表したもの。私学で言うところの資金収支計算書です)
・本業(授業、病院、寄附、補助金など)による資金増が、投資や財務活動での資金減をカバーできている。
・投資活動によるお金の動きは前年に比べ縮小。


なお、公表される決算書の情報は限られていますので、分析するにも限界があります。
が、自校の決算書であれば、すべての小科目の金額も分かりますし、注記の内容も把握できます。
決算書は学校にとっての「通信簿」ですから、活動の結果がそこに集約されているのです。
ぜひとも有効活用していただき、今後の活動の参考になさっていただきたいと思います。

(文責:吉田)

新学期の風景

大阪市内は週末の嵐?で桜のほとんどが散り、公園などでは桜のじゅうたんが広がっています。
そんな時期もまたよろしいのではないか、と。春満喫の今日この頃です。


さて今日は気付きをひとつ。


昨日、帰宅してからニュース番組を見ていたところ、あちこちの小学校、中学校での
入学式、始業式の風景が流れていました。
どの映像を見ても、「ピッカピカの♪ 1年生♪」と唄いたくなるような、
新入生のキラキラした表情を見ることができ、それだけでちょっと嬉しくなってしまいました。


そんな中、あれ?と思ったことが。
それは、「子どもの数の少なさ」。
体育館に集まって行われた入学式や始業式の様子でも、子供が数えるほどしかいない…という映像がたくさん。
クラス風景になると、その数はなおのこと少なくなっていました。


私が小学生だった頃、あるいは中学生だった頃というのはちょうど第2次ベビーブームで、
田舎に「ド」が付くくらいの私の故郷でも、小学校の1クラスの人数は32名、中学では45名。
中学に至るとそれまでの学区全部の生徒をひとつの中学で収容することができず、
中1終了後に学区変更がなされるという異例の措置。それでも1クラスの人数は45名のままでした。


少子化、ももちろんその一因なのでしょう。
が、大きいのは1クラスあたり、あるいは学校あたりの生徒数の減少ということなのだろうと感じました。
1人の教師が見るべき生徒数が多くなりすぎることの弊害は、確かにあるように思いますので、
先日のこのブログ記事でも採り上げた「教育指標の国際比較」(平成25(2013)年版)での国際平均値に近づけていくことに意義はあると感じます。

が、一方で多くのクラスメイトにもまれながら育つ何かもあるのではないか、と感じる部分もあり…
自分の感情が複雑な状態になっていることを自覚しています。


より良い育ちのためのクラス規模とは?学校規模とは?
幸いなことに、私学ではそのことを突きつめ、自分たちの力を最大限発揮できる規模を追求することができます。
財政面からの学校規模がどうしても真っ先に浮かんでしまうのが経営陣の性、かもしれませんが、
より良い教育環境とのバランスを極めていただきたいと願っております。

(文責:吉田)

英語で授業、OK? 高校の英語、新学期スタート 教員ら「不安多い」

4月も第2週に入りました。
新入生、進級生が学校をにぎやかにしてくれる時期がやってきましたね。
そんな教育現場に少し不安が広がっているというニュースを目にしました。


英語で授業、OK? 高校の英語、新学期スタート 教員ら「不安多い」
(記事全文を読むには会員登録が必要です。毎度のことながら…本当に申し訳ないです)


実は以前、毎日新聞の記事にも同じようなのがありました↓
教科書検定:「英語で授業」基本に 現場に戸惑い


両方の記事からかいつまんでまとめると、
○「英語の授業は英語で行うことを基本とする」と明記された高校の新学習指導要領が今春から実施
○これに伴い、英語の教科書もスピーチやディベートなど「コミュニケーション重視」となり、日本語の記述が減少
○ベネッセ教育研究開発センターによる調査結果では、次のような不安・課題を高校英語教師が感じている
 ・文法は日本語で説明しないと理解できないのでは
 ・苦手な生徒が英語だけで理解できるか
 ・大学入試に対応できる学力をつけられるか
○現実には「文法重視」の従来型教科書の人気が高まっている
といったところ、のようです。


英語教育の専門的なところは分かりかねますが、個人的な経験からすれば、
『会話や文書で英語を使うには文法など言語構造の知識が不可欠』
『教科書に文法の説明がほしい教師の気持ちは理解できるが、
 文法を日本語で一方的に解説するだけで生徒が英語を使えるようにならないのも明らかだ』
『使える英語の習得のために文法を教えるという姿勢が大切で、教師の意識や力量が問われる』
との毎日新聞の鳥飼先生のコメントがしっくりきています。

文法がその言語を使えるようになるための「手段」であることは、どの言語でも同じ。
ルールをマスターすれば、応用だって効きやすくなる。
文法を覚えることが目的になってはいけませんが、かといってこれなしで英語が使えるようになるとは思えません。
…これって、語学だけではなく、教育全体に言えることかもしれませんね。


ちなみに、鳥飼先生には昔、NHKテレビ英会話でずいぶんお世話になりました…
懐かしいお名前を拝見して勝手にちょっとほっこりしている私です。

(文責:吉田)

教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置

普段、学校法人さんとのかかわりの中ではほとんど表に出ることのない、「税理士」という肩書。
実は自分もそんなのを持っていたんだ…ということを自覚するために(?)、
今日はちょっとだけ税金の話を。


教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置

平成25年度税制改正の目玉、という見方もあるこの制度。すでにこの4月1日から施行されています。
何だかいきなりスタートを切った印象もあるこの制度ですが、利用する状況は整っているのだろうか?と、
今朝の段階で信託銀行のホームページを確認したところ、
おおむねこの3月29日ごろに制度の告知がなされ、受入体制もできているようですね。
信託銀行にとっては非常に大きな営業チャンスですので、逃さない手はない、ということでしょうか。


制度の概要は先ほどもリンクを貼ったこのページが分かりやすいと思いますが、概要の概要を以下記します。
ちなみに、私が税務関連の記事を書く際は「正確さ」よりも「分かりやすさ」を優先しますので、
厳密な意味においては不正確な部分があることを否めません。
細かいところを含め知りたい方はぜひ原典をあたって下さいますようお願いいたします。

【どんな制度?】
祖父母から子・孫への教育資金の贈与を1,500万円まで非課税にする、という制度です。

【「あげる人」の要件】
祖父母に加えて、曾祖父母、父母などの直系尊属ならOKです。おじやおばは適用対象になりません。

【「もらう人」の要件】
子も孫も対象になります。30歳に達する日まで、という条件が付いているので、その年齢未満であることが必要です。

【「教育資金」の要件】
まず、「学校等に支払うもの」という場合の『学校等』には、保育所や幼稚園、認定こども園を含め、
「学校」と名の付くものはほとんどが対象になると考えてよいでしょう。
ちなみに、支払先が学校そのもの(保育所の場合は市町村でもOK)であることが必要ですので、
業者等に払ったものはここに含まれません。
ただ、塾や習い事など、学校以外に支払うものであっても教育活動に当たるものについては、
1,500万円という枠のうちの500万円までが、非課税枠として認められます。

【この制度が適用される期間】
平成25年4月1日〜平成27年3月31日までとされています。


この制度自体は世代間の資金移動を狙ったものですが、おそらく学習塾等はこの資金を
何とか自らの経営に取り込もうといろいろ工夫してくるだろうと考えられます。
私学においても経営上のメリットを享受できないか、考えてみる必要があるかもしれませんね。

(文責:吉田)

「教育指標の国際比較」(平成25(2013)年版) その2

今日は昨日の続き、ということで。


「教育指標の国際比較」(平成25(2013)年版)

昨日の記事では統計値のご紹介を中心に行いましたが、
今日は自分なりに感じたことを中心に書いてみたいと思います。


【第3部 教育費】

13 国内総生産(GDP)に対する学校教育費の比率
よく言われていることですが、教育に対する公費支出が小さいことがこの統計から見てとれます。
全教育段階における公財政支出の割合について、OECD平均は5.4%、日本は3.6%となっています。

14 一般政府総支出に対する公財政支出学校教育費の比率
こちらも13と同様、小さくなっています。
同じく全教育段階における、政府支出に占める教育支出の割合は、OECD平均が13%であるのに対し、日本は8.9%です。
ちなみに韓国は15.3%、アメリカは13.1%となっています。

15 学校教育費の公私負担区分
公私の比較という観点からしても、公財政の割合が低いのが日本の特徴です。
数字が掲載されている28ヵ国の中で、日本は下から2番目の68.1%。ちなみに最下位は韓国で60%です。

16 公財政教育支出における国・地方の負担区分
こちらはコメントを省略させていただきます。

17 学校教育費の使途別構成
日本においては、資本的支出への支出割合が高くなっているのが少し意外に感じました。
他国と比べても、施設設備の充実が課題になっていると言えるのかもしれません。

18 学生・生徒一人当たり学校教育費
日本は高等教育(大学等)が割安ですが、それ以外はほぼ平均的な数値になっています。
ただしここに掲載されているのはあくまでも国公立教育機関のみということですので、
私学の場合にはもう少し高い水準になるのではないでしょうか。

19 大学の学生納付金
フランスとドイツの安さが際立っています。逆に、アメリカは私学の学費の高さが際立っています。
韓国は国公立大学であっても学部や学校によって学費が大きく異なっていることが分かります。

20 政府機関等奨学制度
他国には給付型の奨学金制度が存在しているのに対し、日本にこれがないのが不自然な気すらしてしまいます。
ここに来て少しそのような議論も出てきているようですが、早急に整備すべき制度のひとつであると感じます。


さらにいくつか付属資料も付いているのですが、そちらは割愛させていただきますね。


この資料から感じた率直な感想としては、
「制度や実情など、韓国と似ているところが多いんだな」
ということ。逆に欧米とは制度の違いがくっきりと見てとれた気がします。


そしてもうひとつ、教育そのものの多様性について、もっと活発な議論があってもいいのでは?ということ。
欧米との制度の差を見るにつけ、「パートタイム学生」、つまり「就業しながら学業も修める」という形が
日本においてはいろんな意味で難しい(本人の意識、公的なバックアップ、就業形態…)のではないか、と感じました。
制度を整えるのは政府の仕事、かもしれませんが、私学としては、これまでも先進的な取組をしてきたわけですから、
常識にとらわれない教育の形というものを見つけていくのもまた使命、と捉えても良いのかもしれません。


以上、本資料からの気付きを書き連ねてみました。
皆さんもぜひ、機会があれば目を通してみて下さいね。

(文責:吉田)

「教育指標の国際比較」(平成25(2013)年版) その1

4月に入って3日目。新人さんは緊張の連続で疲れが出始める頃かもしれませんね。
今年の曜日の並びは新人さんにはちょっと酷かな?と思いつつ、少しずつ肩の力が抜ければいいな…と願っております。


さて、3月中に出ていた記事なのですが、読むのに少し時間がかかってしまって本日のアップです↓
「教育指標の国際比較」(平成25(2013)年版)

文科省HPを拝見すると、この資料について
アメリカ合衆国,イギリス,フランス,ドイツ,ロシア連邦,中国,韓国を中心に,
 諸外国における教育の普及,教育諸条件,教育費等の状況を統計数字を用いて示しました』
とあります。個人的なことを言えば、諸外国の学校統計に触れる機会はほとんどないので、
この資料くらいはちゃんと読んでみようと、週末に頑張ってみたというわけです。

そして、これもあくまで個人的な感想ですが、これまで「なんとなくこんな感じかな」と思っていたことが
実情に近かったことが分かったので、ちょっとほっとした(?)ところです。
かいつまんで、それぞれの内容を見ていきましょう。
ちょっと長くなりますので、今日と明日の2回に分けてお届けすることにしましょう。


【第1部 教育の普及】

1 就学前教育の在籍率
 日本で言うところの「保育所と幼稚園に在籍する園児の割合」。
 日本は概ね9割。韓国が8割強。フランス、ドイツは9割を超えています。

2 義務教育後中等教育への進学率
 日本で言うところの「中学卒業後、高校や専修学校へ進学する生徒の割合」。
 日本は98%台で推移。ドイツ、韓国はほぼ100%となっています。

3 義務教育後中等教育の在学率
 上記2が「進学率」だったのに対し、こちらは「在学率」です。
 18歳以上の方の在学もカウントしているため、日本では100%を超える値となっています。

4 高等教育への進学率
 日本で言う「大学・短大・高専への進学率」。
 大学進学率だけで言えば、日本は51%、韓国は71%、アメリカが74%、オーストラリアは96%!
 なお、この統計で同時に示されている「入学年齢」を見ると、日本はほとんどの学生が19歳までに入学しているのに対し、
 他の国では入学年齢に幅があり、世界的には20代の新入生が多数派、というのが興味深く感じました。

5 高等教育の在学率
 こちらは高等教育(大学等)の「在学率」。
 国によってかなり差があり、日本は7割強、アメリカは100%前後、ドイツは5〜6割、韓国は120〜130%。
 ただし韓国は在学者のうち3割が休学者とのこと。兵役義務による影響が指摘されています。

6 高等教育在学者の人口千人当たり人数
 「全人口に占める大学等の在籍者の割合」ですね。
 日本は専修学校まで含めて3%程度。アメリカは6%強。低いのはドイツの2〜3%、高いのは韓国で7%強。
 これが大学院レベルに絞り込まれると日本は0.2%まで下がります。ちなみにアメリカ、イギリスは1%弱、
 韓国は0.6%となり、各国による大学院の位置付けの違いが推察されます。

7 学部学生に対する大学院学生の比率
 この統計値はフランスが突出しており7割を超えています。日本は1割。韓国は1割強です。

8 高等教育在学者の専攻分野別構成
 日本は文系が半数。工学系が15%と意外と少ないことが現代を物語っているようにも思います。
 
9 学位取得者の専攻分野別構成
 学位取得者の割合と8を比較すると、各国ともに文系の比率が上がり、医歯薬計が下がっています。
 学位取得の困難さを示しているのでしょうか。


【第2部 教員】

10 教員一人当たり児童・生徒数
 意外な気もしますが、日本はOECD平均とよく似た水準です。

11 1学級当たり児童・生徒数
 こちらは先ほどの10とは異なり、OECD平均よりもかなり大きい数字になっています。
 先ほどの統計が平均的、こちらが平均より大きいとなると、日本の場合、
 「クラスに配属されない先生の数が多い」ということになるのでしょうか。

12 女子教員の比率
 この統計を調べてくれた同僚から、
 「この項目を集計する意味は何なのかあまりわかりませんが、
  女性の社会進出や結婚・出産後の就業率などと関係があるのでしょうか」とのコメントが。おそらくそうなのでしょう。
 日本の場合、就学前教員数は97%と高く他国とも遜色ないのですが、初等教育以降は一気に下がり、最下位レベルです。


以上、本日はここまで。

残りは明日、採り上げたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。


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母校への想い

ご無沙汰しています。子育てママです。


この春、私の母校がめでたく甲子園に出場しました!


こんな機会はめったにないことなので
球場は母校側のアルプス席だけ超満員!!!
地元からはバス40台超で駆けつけ
全国に散らばっていた卒業生も大勢駆けつけたようです。
ここまでの人数を集めた在校生、
そして伝統を守って継続してくれたこれまでの卒業生に
感謝の気持ちを感じた人は多かったようです。


社会の第一線で活躍している人や
家庭に入って家族を支える人
定年を迎え隠居生活を送っている人
そんな人たちが学生時代に戻ってひとつになって応援する姿。
久しぶりの校歌を熱唱しながら
ここの学校の卒業生でよかったなぁとしみじみと実感しました。


進学する学校をどこにしようか悩む時には
大学への進学率や就職率につい目が向きがちですが
今回のことを通じて、
巣立っていた卒業生の活躍している姿を
自分の望む将来と結び付けて考えてみることも大切なことだなぁと思いました。

仮に、望む形と違ってしまったとしても
同じ学び舎で過ごした友達が、
自分の理想に近い形で活躍し続ける姿って、
仕事や私生活の活力につながります。
学校を選んだ当時はそんなことまで考えてはいませんでしたが
子供たちの学校を選ぶ時には、
親としてそういう部分にも目を向けていきたいと思います。


ちなみに・・・、


私、翌日のあるスポーツ新聞の裏一面の写真に小さく(ほんとに小さく)載っていました!
録画したテレビ中継でも、
応援団の後ろで自分の歳を振り返ることもなく楽しそうに応援している姿が一瞬(2秒くらい)
しっかり映っていました。。。
そんなおかげもあり、引き続き次の日も
同級生とワイワイ盛り上がらせてもらいました(笑)